男性消費の変化にチャンスの芽

男性消費の女性化が進んでいるようだ。最近、20〜30代シングル男性と小中学生くらいの子供を持つ父親の消費トレンドや行動が報じられていた。男性の消費行動は“女性化”の傾向にあるようだ。

20〜30代シングル男性については、雑誌「日経ウーマン」で実施したアンケートの結果が1/26日経MJ記事で報じられている。それによると、インテリアにこだわり、アロマテラピーやお茶を“大人買い”し、男友達と夜カフェをするシングル男性が増えている。女性向けだった「アロマ」、「雑貨」、「カフェ」というキーワードが男性消費をも取り込んでいるそうだ。また、仕事観については、約7割の人が「仕事は生活費を稼ぐための手段」と割り切り、6割が「職場の人間関係」に悩んでいる。約8割が「仕事とプライベートは分けたい」とし、約9割が「自分ひとりの時間が好き」という結果。最近、仕事や恋愛に低温な「草食男子」という言葉も流行しているが、自動車メーカーやアルコール飲料メーカーが若者対策に腐心していることもあわせて考えると、「仕事」や「恋愛」の成功が消費行動へのモチベーションにつながらなくなってきたといえるだろう。他人の目を意識した「格好良さ」を求めるのではなく、「自分の快適のために」、「質の良い自分になるために」といった動機が重要といえそうだ。

小中学生の父親の行動傾向については、1/23の日経MJで報じられている。それによると、子供の受験に熱心に関わり、塾の説明会などにも積極参加、面談の際は「目標に到達しているか」を講師に問いただす。サッカーや野球などのスポーツチームでも、コーチに文句を言う父親が増えているそうだ。いずれも、子供の成長過程を楽しむのではなく、結果重視というスタンスが特徴で、何事も数値化で考え目標を達成したかどうかを基準で考える「仕事の論理」を子育てに持ち込んでいると指摘している。今の経済不況下で、仕事における自己実現が難しくなった父親たちが、子育てに関心を移したようだ。父親が子育てに積極的に関わるようになったことから、「父子向け」の商品・サービス開発の余地があるように思えるが、父親たちは会社の論理を子育てに持ち込んでしまう程の「初心者」であることを忘れてはならないとも指摘している。

いずれも、“女性的”で、従来のような“男らしさ”が後退している点が特徴である。背景には、好況期を体験せず経済不況の中で育ったポスト団塊ジュニア世代という特性と、“今”の景気低迷という時代性が大きく影響しているようだ。

だが、彼らの心理や欲求、特性を踏まえた上でマーケティング戦略を練れば、企業や事業者にとっては、チャンスの芽と捉えることもできるだろう。

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