旅行のプランが好調という記事からヒントを探る

2/16日経MJの「新発想で勝負」というコーナーに、JAグループの旅行会社、農協観光の記事が出ていた。

2008年10月に発売した地場産食材を使った夕食つき宿泊プラン「地産地消・こわだりの宿」が好調という内容である。地場の食材を郷土料理などに調理してホテルで楽しむことができ、道中に直売所で食材を買うことも出来るため、自宅に帰ってから同じ料理を作って楽しむこともできるというプランが熟年層の女性客に好調で発売五ヶ月で予約・販売数は2600人超だという。プランの一部では、食材の“持ち込み”も可能という業界初の試みで、商品企画担当者の声や商品発売に至るまでの苦労話が盛り込まれている。後半には、マスコミ記者の見解として、食の安全・安心に関心が高まる中で人気を博す可能性があるということ、現状の課題や今後の成長のポイントを指摘し、記事は締めくくられている。

一般的に知られている広報・PRでは、新商品やサービスの発表前に、新聞や雑誌などのマスコミ各社に対して“ニュースリリース”という形式の資料(新商品やサービスの内容をマスコミ向けにまとめたもの)を送り、記事化を狙う。広告であれば、記事のスペースを買って出稿するが、広報・PRでは記事になるかどうかはマスコミの判断による。マスコミがニュースとしての価値(報道する価値)があると判断すれば記事化につながる。

では、今回の農協観光の記事のように、新商品の紹介記事ではなく、商品発売後の好調さを伝える記事はどのようにマスコミにアプローチすればよいのだろうか。

農協観光の記事には、商品の特徴・差別化ポイント、商品発売後どのくらい売れているのか(数値)、どんな客層にどんな点が好評なのか、商品開発の狙い、商品発売までの苦労話やエピソードが書かれている。つまり、このような情報を自社からマスコミに提供すると、マスコミが関心を持ち、取材につながる可能性が高まるということだ。

商品・サービスの発売後の進捗や変化をマスコミは求めているが、大企業を除くとマスコミ自らが情報を集めるのはなかなか難しいのが現状である。そこで、企業や事業者の側から、変化や進捗に関する情報を簡単に資料にまとめてマスコミに情報発信するのが有効となる。要は、マスコミに「関心を持ってもらう」ことが重要なのである。

商品・サービスの発売前に“ニュースリリース”を発信して記事にならなかったとしても、発売後の情報を伝えることで、マスコミの関心を喚起することができるのである。発売前の“ニュースリリース”は、記事にならなかったとしても、マスコミに「伝えておく」という意味では非常に重要といえる。

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